本領域はフランス文学を対象としていますが、既存の形式にこだわらず、広い意味での言語表現活動を視野に入れています。小説・詩・エッセイなどを核としながらもどんどん脱中心化していく文学活動、そのように可変的な「文学なるもの」を、おもに近現代という視点から考えます。ひとつの文学作品・ひとりの作家から広がる世界を見ることは、ひるがえせばその世界を言葉に還元する文学の恐るべき凝縮運動を知ることでもあるのです。
授業では、文学テクストの熟読を通して、それが内包している時代性、思想、歴史などの背景を理解し、多面的なテクスト理解を目指します。文学理論・テクスト分析のみならず、テクストから読み解く文化・思想的な側面をとおして、異文化理解とはなにかを考えます。近・現代のテクストや文献をおもに使用しますが、授業では論文執筆に必要なスキルを身につけるために、批評言語やフランス語運用能力の習得にも力を入れています。教員は2名、年間に開講されている授業は大きく分けて「フランス文学研究」「フランス文学演習」の2種類です。
学生はフランス文学領域の開設科目はもちろん、文芸・言語専攻の他領域や現代語・現代文化専攻の開設科目も履修することができます。学生たちは授業で得た知識やスキルをそれぞれの関心や研究対象に結びつけ、より深い分析能力を養うことを学びます。そして、その成果は「フランス語学領域・フランス文学領域合同研究発表会」や、毎年発行される『筑波大学フランス語・フランス文学論集』(筑波大学フランス語フランス文学研究会発行、1983年創刊)で発表することができます。これらは外の世界に向けて研究成果を公表する刺激的な機会であるといえるでしょう。このように業績を積み重ねることで、学位取得の面では中間評価論文(いわゆる修士論文)や博士論文へと発展させることはもとより、対外的には日本フランス語フランス文学会の本会大会や、関東支部大会などの他流試合的な発表へとつなげていきます。
これまで提出された中間評価論文(修士論文)には、次のようなものがあります。
また、留学先の大学に提出された博士論文には、次のようなものがあります。
筑波大学フランス文学領域では、これまで多くの先輩諸君を輩出してきました。研究室の自由な雰囲気を反映してか、先輩たちの選んだ研究テーマはさまざまです。19〜20世紀はもちろんですが、中世や17世紀の劇作家モリエール研究、18世紀のラクロなど学生の希望に応じて時代を問わず研究を進めることができます。修了生の進路は、大学の専任教員、もしくは非常勤講師になることがほとんどです。また、学部時代に取得した教員免許を生かして高校教員、また大使館に勤務しているという事例もあります。
小川美登里 | フランス文学(現代文学) |
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増尾弘美 | フランス文学(仏現代小説) |
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