領域案内

概要

一口に「応用言語学(Applied Linguistics)」といっても、一般的にそこに含まれる研究内容は多岐にわたり、またその研究対象やスコープも、言語学プロパーの定義、つまり言語についての基礎研究をどう定めるかによって変わってきます。したがって、応用言語学領域と聞いただけでは、そこで具体的にどんな研究や教育が行われているか、人によってかなり異なったイメージを思い浮かべるのではないかと思います。

私たちの応用言語学領域では、言語知識と言語運用に関する基礎研究を大切にしながら、それを基盤としてその上に複合領域的な応用研究を積み重ねていくことを全体の基本方針としています。そして、担当教員の専門や開設授業科目を見ていただければわかるように、私たちの領域の最大の特徴は、日本語を中心とした研究・教育体制という点にあります。

現在のところ、5名の教員が日本語を軸にした基礎的研究と応用的研究の連携というパースペクティヴの中で研究指導にあたっています。5名の教員のカバーする領域は、一方では、音韻、形態、統語、意味、談話といった日本語に関する記述的あるいは理論的研究、また他方では、他言語との比較・対照研究、コーパス言語学、言語教育学、言語習得、社会言語学などの複合領域的ないわゆる応用言語学研究を含んでおり、学生は基礎、応用の両面にわたってかなり広い範囲のテーマを研究することができるようになっています。

院生は現在1年次から5年次まで総勢20数名が在籍しています(5年一貫制課程です)。留学生が多いのも私たちの領域の特色で、特に定員化しているわけではありませんが、国費と私費の留学生を併せて全体の半数強を占めています。留学生は、アジアを中心に世界の様々な国や地域から集まっており、とても国際色豊かな研究室です。また逆に、海外の大学に留学したり、一時休学して日本語を教えに行ったりする学生もいます。

院生の研究テーマとしては、広い意味での現代日本語文法研究が最も盛んですが、記述的な文法研究とともに、生成文法といった理論的な立場からの研究、談話分析に基づく研究、さらには留学生を中心に対照研究なども数多く行われています。また、日本語教育・第二言語習得関係の研究、コーパスを利用した文法、談話分析、文字研究、音韻研究などヴァラエティーに富んだ研究が進められています。

そうした院生の研究成果発表の場として、私たちの領域では、教員・院生が共同編集する『筑波応用言語学研究』、さらには一般言語学領域と協力して『言語学論叢』を毎年発行しています。

さらに、口頭発表の場として、毎月1回、月例会を開き、院生の研究発表を行っています。

私たちの領域では、これまで80本以上の博士論文が提出されてきました。また国内外の研究・教育機関で言語学・日本語学・日本語教育の研究・教育に携わって活躍している出身者もかなりの数に上り、そのネットワークは私たちの領域の貴重な財産となっています。

よくある質問

応用言語学研究室はどんなところですか?

筑波大学は他の大学(院)と違い、特定の研究講座を設けないコース(領域)が一般的です。応用言語学研究室も、特定の教員に属しているのではなく、学生がさまざまな専門分野の教員から指導を受けることが可能となっています。詳細については上記の領域案内を参照してください。

講座ではないとしたらゼミはないんですか?

基本的に毎月1回、月例会という領域全体の研究会が行われています。このほかに指導教員によって個別のゼミや研究会が開かれている場合もあります。

5年一貫制とはどのようなものですか?

筑波大学の大学院では一般的な大学院と異なり、修士課程の延長線上に博士課程があるのではなく、修士課程と博士課程が独立したコースとして設けられています。応用言語学領域は博士課程に属し、5年間で博士の学位を取得することを目的とします。

5年間の前半が一般的な修士課程(博士前期課程)に相当し、中間論文を提出することで修士号を取得できます。後半は一般的な博士課程(博士後期課程)に相当しますが、5年で一貫であるため、前期から後期に進級する際は試験ではなく中間論文(修士論文)が基準となります。また、修士号をすでに取得している場合は後期課程に編入することも可能です。

留学生は日本語の能力が必要ですか?

必要です。授業などは日本語で行われるものがほとんどです。また、日本語非母語話者の留学生の場合は入試でも外国語試験として日本語が必須となります。

入試は年間何回行われますか?

2月期と7月期の2回行われています。なお、2月期は筆記試験が中心、7月期は推薦試験が中心となっています。詳細についてはこちらを参照してください。

応用言語学にはどのような授業がありますか?

応用言語学に開設されている授業については、こちらをご覧ください。