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『ジョン王』 ジョン王は、ジョンの甥アーサーを正統な王として擁護するフランス王フィリップの挑戦に応じ、フランスに侵攻する。アンジェで対峙した両王だが、いったんは和睦が成立するものの、法王の大使パンダルフ枢機卿が法王に対するジョン王の日ごろの不敬を非難し、破門を宣告する。困惑したフィリップ王は、法王を恐れて再びジョン王に宣戦する。ジョン王は家臣ヒューバートにアーサーの暗殺を指示し、ヒューバートに逃されたアーサーは脱走の途中で高い城壁から飛び降りて死んでしまう。アーサーの死を知った貴族たちはジョン王から離反し、孤立した王はパンダルフに屈服して法王への忠誠を誓い、その力を借りてフランスとの和平を計るが、皇太子ルイはすでに軍をイギリスに向けていた。そこへ先王リチャード一世の私生児フィリップが現われ、ジョン王に全権を委ねられる。戦いの最中、ジョン王は修道士に毒殺されるが、王に背いてフランス側についていた貴族たちはルイへの不信から帰順を決意し、私生児フィリップの活躍に助けられてイギリスは危機を脱する。王子ヘンリーがヘンリー三世として即位、臣下一同新王への忠誠を誓う。
『リチャード二世』 国王リチャードの従弟ヘンリー・ボリングブルックがトマス・モーブレーの不正を告発している。王への謀反と伯父グロスター公の殺害に荷担した嫌疑だが、モーブレーは怒り、決闘によって決着をつけたいと申し出る。リチャードはそれを認めるが、いざ決闘が始まるという段になって突然中止し、両者ともに追放を言いわたす。かねてよりリチャードの統治能力のなさは悪評高く、折しも叔父のゴーントが失意のうちに死ぬと、息子であるボリングブルックの権利を無視してその財産を没収してしまう。それを知ったボリングブルックは、追放の身ながら地位・財産の回復を求め、不満貴族たちの兵力を集めてイングランドに戻る。不穏な動きを察知したリチャードは、遠征先のアイルランドから急遽帰国するが、時すでに遅く、優勢を極めたボリングブルックによって議会で退位を勧告される。空しく鏡を見つめるリチャード。謀反との声もあったが、ボリングブルックはヘンリー四世として王位につき、リチャードはポンフレット城に幽閉され、暗殺される。胸中複雑のボリングブルックは、罪の償いのために聖地遠征の旅に出る決意を述べる。
『ヘンリー四世第一部』 リチャード二世から王位を奪ったヘンリー四世は、罪の償いの意識から聖地への十字軍出兵を志すが、ウェールズ遠征軍の敗北とノーサンバランド伯の息子ホットスパーの傲慢な要求に阻まれて断念する。王はまた、放埒な生活を送る王子ハルにも心を痛めている。豪放磊落なフォールスタッフらとつきあい、彼に追い剥ぎを実行させてあとで獲物を横取りするという悪ふざけなどに興ずるハルだが、この放蕩は雲間から出る太陽の栄光を際立たせるためと独白する。一方、ホットスパー親子は王と袂を分かち、ウスター伯、グレンダワーとともに反旗を翻す。反乱軍討伐を前にして、王は王子の不行跡を責めるが、ハルはこの戦いで名誉を回復することを誓う。フォールスタッフも歩兵隊長に任じられ、早速徴兵権を利用して賄賂を集めたりの悪辣ぶり。王側から和睦の試みもなされたが、ついにシュルーズベリーの戦いが始まり、フォールスタッフは死んだふり、大活躍のハルは王の危機を救い、ホットスパーと対決して彼を倒す。勝利を収めたヘンリー四世は、ウスター伯らに死刑を宣告し、ハルとともにグレンダワー討伐のためにウェールズへと向かう。
『ヘンリー四世第二部』 リチャード二世の予言どおり諸侯が次々と謀反を起こす現状に悩むヘンリー四世だが、ハル王子の弟ランカスター公ジョンの功績で反乱軍は制圧され、ノーサンバランド伯らはヨーク州長官に討伐され、しかし安堵するのもつかのま、心身ともに疲弊した王はついに病の床に伏す。一方下町では、あいも変わらずフォールスタッフの傍若無人ぶり、居酒屋の借金は踏み倒す、ハルの悪口は言いまくる、軍務に就いては免役の賄賂を払えない役立たずの兵だけを集める。さて、王の病室を訪れたハルは、眠っている王がすでに死んだものと思って王冠を持ち去るが、誤解も解け、王位簒奪の罪過を背負って死ぬという王の臨終のことばに厳粛に耳を傾ける。そしてヘンリー五世の即位。放蕩時代に彼を罰した司法長官を呼び、その毅然たる態度を評価して引き続き司法権を委ね、わが身を援護するよう望む。新王即位の知らせを聞いてフォールスタッフが喜び勇んで会いに来るが、ヘンリーは彼を冷たく拒絶して司法長官の手に引き渡す。国会が新たに招集され、ジョンが兄王の采配を讃えるなか、フランス外征の時が来たと告げられる。
『ヘンリー五世』 口上役がプロローグを語り、ヘンリー五世の偉業を観客の想像力で補うようにと求める。イングランドの名君ヘンリー五世は、女性を介した王位継承を禁ずるサリカ法が実際にはもはや機能していないと知って、自らのフランス王位継承権を主張し、フランスとの戦争を決意する。一部の貴族たちが謀反を起こそうとするが、ヘンリーは機先を制して逮捕し、フランスに渡ってからは圧倒的な強さでハーフラーの町を陥落させる。アジンコートの戦いの前夜、ヘンリーは王の姿を隠して兵士たちを視察し、彼らと語って王の責任の重さを痛感する。イングランド軍は数に勝るフランス軍を前にして疲弊していたが、兵士たちの士気と団結が鼓舞されて奇跡的な勝利を収める。そして、ヘンリーとフランス王女キャサリンとの結婚が成立し、ヘンリーはフランスの正統な王位継承者であると認められる。かつての王の仲間であったフォールスタッフの死が語られ、バードルフやニムは盗みの罪で処刑されるといったエピソードも交えられている。最後に口上役が、ヘンリー五世の獲得したフランスの支配権はヘンリー六世の時代に失われると語る。
『ヘンリー六世第一部』 ヘンリー五世の葬儀が執り行なわれる冒頭、この英雄の死がイングランドの暗い未来を予兆しているかのように、フランスにおける領土喪失、イギリス軍の苦戦など、不穏な知らせが次々ともたらされる。国内では、グロスター公とウィンチェスター司教の反目から始まる貴族たちの勢力争いが表面化していたが、幼くして即位したヘンリー六世は事態を収拾できない。武将トールボットだけが孤軍奮闘、フランス軍と果敢に戦っていたが、ランカスター家とヨーク家の対立としてさらに激化することになる貴族間の抗争のために十分な援軍を得られず、最後は息子ジョンとともに壮絶な死を遂げる。一方フランスでは、天啓を受けたと称する羊飼いの乙女ジャンヌ・ダルクが皇太子シャルルのもとに現われて軍を起こし、神秘的な力によって一時はイギリス軍を圧倒する。やがて彼女は捕らえられて火刑に処せられ、フランス軍も疲弊してくると両国間に和議が講じられる。サフォーク伯は自ら捕らえたアンジュー公の娘マーガレットの美しさに魅せられ、彼女とヘンリー六世との結婚をとりもつことで勢力の伸長を企む。
『ヘンリー六世第二部』 ヘンリー六世とマーガレットの結婚に反対する叔父の摂政グロスター公は、ウインチェスター司教らと対立し、彼らの陰謀に巻き込まれる。妻エリナーが魔術を使ったかどで逮捕され、グロスター公自身は無実を主張するが、反グロスター勢力に押し切られたヘンリーに摂政の地位を追われ、王妃の愛人となったサフォーク公らの策謀によって暗殺されてしまう。このような貴族間の抗争の最中、ヨーク公は着実に勢力を拡大してゆく。アイルランド鎮圧に喜んで出かけたのも強力な軍隊が得られるからだが、折しもケント州で蜂起したジャック・ケイドの一揆を操り、王の権力を揺さぶる。ケイドは一時ロンドンにも迫るが、急速に勢力を失い、逃走中空腹のため忍び込んだ庭園の持ち主に殺される。またサフォーク公は、グロスター公の死を悲しむヘンリーによって追放され、フランスへ渡る途中海賊に殺害される。軍を率いてアイルランドから戻ったヨーク公は、かねてより要求していた政敵サマセット公の追放を王が実行しなかったことに憤り、ヘンリーを公然と誹る。かくして薔薇戦争の火蓋が切って落とされ、緒戦はヨーク側白薔薇の勝利に終わる。
『ヘンリー六世第三部』 優位に立ったヨーク公はヘンリー六世に譲位を迫るが、弱腰の王による皇太子廃嫡の回答に納得できない王妃マーガレットが大軍を率いてヨーク一派と戦う。この第二戦は数で勝る赤薔薇の勝利となり、捕らえられたヨーク公は、マーガレットによって紙の王冠を被せられて辱めを受けた後、惨殺される。父の死を知った息子エドワードとリチャードはヘンリー王打倒を誓う。戦争はさらに激化し、やがて王妃たちは敗走、ヨーク側が勝利を収める。ウォリック伯がエドワードの即位を提唱し、フランス王ルイ十一世の義妹ボーナとの結婚を勧め、使者としてフランスに向かう。エドワードは、二人の弟をそれぞれグロスター公、クラレンス公に叙し、エドワード四世として戴冠する。しかし、一目惚れしたグレイ未亡人と結婚してしまった王は、怒ったウォリック伯の謀反を受けて軟禁されるが、リチャードの助けで脱出し、軍を率いて交戦する。ウォリックは破れ、フランス軍の援助を得て戻ってきた王妃も王子エドワードとともに捕らえられる。王子は母の眼前で刺殺され、幽閉中のヘンリー王も心中密かに王位を狙うリチャードによって葬られる。
『リチャード三世』 ヨーク朝エドワード四世即位後の平和な世に満足しない末弟グロスター公リチャード、醜いわが身は悪党になると宣言する。まずGを頭文字にした者が王の命を狙っているという噂を流し、次兄クラレンス公ジョージを幽閉させ、刺客を送って殺害させる。続いて、故ヘンリー六世の息子エドワード王子の未亡人アンに言い寄るのだが、彼女はリチャードの悪事を見抜いて侮蔑のことばを浴びせながらも、その甘言に負けて結婚を承諾してしまう。もとより健康を害していたエドワード王が弟の死に衝撃を受けて世を去ると、王妃エリザベスの恐れていたとおり、巧みな画策で王になったリチャードは、遺された王子たちをロンドン塔で暗殺する。さらに彼は、王妃アンが重病で死の床についているとして、エリザベスに彼女の娘との結婚を承諾させる。しかし、フランスに亡命していたテューダー家のリッチモンド伯が王位を主張し、リチャードと対戦する。リチャードは、殺害した者たちの亡霊に悩まされつつ迎えるボズワース平原の戦いで、「馬をくれ」と叫びながら殺される。リッチモンド伯はヘンリー七世となり、ここに薔薇戦争が終結する。
『ヘンリー八世』 私利私欲にかられているウルジー枢機卿は、政敵バッキンガム公を失墜させ、王ヘンリー八世の寵愛を受けてますます政教両界に勢力を伸張させつつある。ウルジー主催の晩餐会が開かれ、そこで王は女官アン・ブリンの美しさに魅了され、王妃キャサリンが兄アーサーの妻であったことを理由に、自分との結婚は無効だと言い出す。離婚に承服できない王妃は法王への直訴を考えるが、ウルジーもまたアンが王妃になった時の不利益を思い、法王に離婚裁決の延期願いの書状をしたためる。しかし、誤ってこの書状を王に読まれてしまい、進退窮まって失脚する。裁判はクランマー大司教を中心に強行され、王妃欠席のまま離婚の裁決が下る。キンボールトン城に移されたキャサリンは重い病いに伏し、王女メアリーの身を案じながら死ぬ。宮廷ではウルジーに代わってクランマーが王の寵臣となり、ひとたびは誹謗中傷によってその地位を追われそうになるが、王の信頼によって救われる。王妃アンには無事女児が誕生し、ロンドン中が喜びにわきかえる。王女エリザベスの輝かしい未来を述べたクランマーの予言で劇は終わる。
『タイタス・アンドロニカス』 ローマの将軍タイタスは、ゴート族討伐を終え、女王タモーラとその息子たちを捕虜にして帰還、タモーラの長男を生け贄として捧げる。さらに先帝の長子サターナイナスを後援して新皇帝に即位させ、愛娘ラヴィニアを妃として献上する。だが、先帝の次男バシエイナスは彼女との婚約を言明、サターナイナスの心変わりもあってタモーラが王妃に選ばれる。地位を得たタモーラは、愛人エアロンと共謀して復讐を企み、息子たちをけしかけてバシエイナスを殺害、ラヴィニアを陵辱、彼女の両腕と舌は犯行隠蔽のために切り取られる。タイタスは皇帝に裏切られ、その二人の息子がバシエイナス殺害の罪を着せられ処刑、かばった長子ルーシアスは国外追放される。口にくわえた杖で書かれたラヴィニアの文字から犯人を知ったタイタスは、タモーラの息子たちを捕らえてその死体でパイを作り、訪れた皇帝と妃の面前で、娘の恥辱を晴らすと言ってラヴィニアを刺し、パイを食べたタモーラにその中身を明かして殺害する。皇帝はタイタスを殺すが、軍を挙げて戻っていたルーシアスが父の仇を打ち、新しい皇帝となってエアロンを生き埋めの刑に処する。
『ロミオとジュリエット』 ヴェローナの名門モンタギュー家とキャピュレット家は勢威を競って敵対していた。モンタギューの子息ロミオは、キャピュレット家で開かれた仮面舞踏会に忍び込み、敵方の一人娘ジュリエットと一瞬にして恋に落ちる。翌朝、乳母を仲立ちにジュリエットはロメオの結婚の意志を確認し、二人はロレンス神父のもとで密かに式を挙げる。ところが、その帰途、親友マーキューシオとジュリエットの従兄ティボルトとの喧嘩騒ぎに巻き込まれたロミオは、マキューシオが殺されたために逆上してティボルトを殺害してしまう。大公により追放処分を受けたロミオは、ジュリエットとの別れの一夜を過ごし、マンチュアへと旅立つ。一方ジュリエットは、父親に強制されたパリス伯爵との結婚を避けるため、ロレンス神父の助力を得て仮死状態になる薬を飲む。これをしたためたロレンス神父の手紙は運悪くロミオに届かず、ジュリエットの死の知らせを信じ込んだロミオは、彼女の霊廟のなかで毒を仰いで自殺する。直後に目覚めたジュリエットも短剣で彼の後を追う。
『ジュリアス・シーザー』 ローマ市民の人気を一身に集めるジュリアス・シーザーは、事実上の最高権力者にのし上がりつつある。これに不満を抱くキャシアスは、シーザー暗殺を企て、民衆に信望の厚いブルータスを仲間にすべく説得する。ブルータスは眠れずに悩んだ末、ローマのためを思えばこそ野心家シーザーを亡き者としなければならないと結論する。三月十五日の朝、いつものように議事堂に向かうシーザーは、不吉な夢を見たという妻の不安を振り切って出かけ、ついにブルータスらに殺害される。動揺する市民を前にブルータスは、ローマを愛しているがゆえの行ないだったと説き、民衆の理解を得る。しかし、そのあとに追悼演説することを許されたシーザーの腹心アントニーは、巧みな弁舌で民衆の情に強く訴え、すべての市民に遺産を残したというシーザーの遺言状まで見せて、たちまちに民衆を反乱へと駆り立てる。ローマの支配はアントニー、オクテイヴィアス、レピダスの三執政官のものとなり、形勢不利となったキャシアスとブルータスは自害する。アントニーが讃える──ブルータスは憎しみではなく高潔な正義の心で万民の公益を願っていた、と。
『ハムレット』 デンマークでは先王の崩御に伴い、その弟クローディアスが王位を継ぎ、先王の王妃ガートルードを妻に迎えていた。父の死と母の再婚を嘆く王子ハムレットは、父王の亡霊に復讐を命じられ、しかしクローディアスらに心中を悟られないため狂気を装う。恋人オフィーリアへのつれない仕打ちもそのひとつ、折しも訪れた旅役者一行に王殺しの場面を演じさせ、クローディアスの狼狽ぶりから彼こそ犯人との確信を得る。しかし、王と誤認して家臣のポローニアスを刺殺、恐れた王はハムレット暗殺を企んでイギリスへと送る。失われた恋ゆえか父ポローニアスの死ゆえか、オフィーリアは発狂し川の流れに身を沈める。その兄レアティーズの燃えさかる復讐の念を利用するクローディアス、危機を逃れて帰国したハムレットにレアティーズとの御前試合を申し出るも、レアティーズの剣には毒、ハムレットのワインには毒を。試合中、知ってか知らずかガートルードが毒杯を仰ぎ、毒剣に傷ついたハムレットは剣を奪ってレアティーズを刺し、すべては王の悪巧みとクローディアスを刺し殺す。フォーティンブラスを王位継承者に指名し、死に赴くハムレット。
『トロイラスとクレシダ』 トロイの王子パリスがギリシアの高官メネレイアスの妻ヘレンを奪ったことから始まった戦争は、決着がつかないまますでに7年目。パリスの弟トロイラスは神官の娘クレシダに心奪われ、彼女の叔父パンダラスに仲介役を頼んでいる。一方ギリシア側では、最強の勇士アキリーズが指揮官の指示を無視して出陣を拒み、軍全体の統率を乱している。ギリシアの知将ユリシーズは、敵将ヘクターから申し込まれた一騎討ちの相手にあえて別の武将を選出し、アキリーズの自尊心を傷つけて闘争心をかきたてる。つかの間の歓喜に浸るトロイラスとクレシダだが、ギリシアとの交換条件でクレシダを敵陣に引き渡すことになり、二人は永遠の愛を誓い合って別れる。ところがクレシダは、ギリシアの武将ダイオミーディーズの求愛をやすやすと受け入れてしまう。その場をのぞき見して絶望したトロイラスは復讐の鬼と化して出陣する。アキリーズも親友の死を機に出陣し、ヘクターを急襲して殺害、その死に強い衝撃を受けるトロイラス──戦いの決着はまだつかない。
『オセロー』 ムーア人の傭兵オセローは、その武勲と人柄を買われ、ヴェニスの将軍として信頼されている。彼は、ヴェニスの元老院議員の娘デズデモーナと恋に落ち、彼女の父親の許しを得ずに結婚してしまう。折しもトルコ艦隊がサイプラス島に進攻中であるとの緊急情報が入り、オセローはサイプラス島の総督に任命されて急派され、デズデモーナも自ら望んで後を追う。幸い嵐のためにトルコ艦隊は壊滅して戦争の危機が去り、新婚の幸せに浸るオセローとデズデモーナ。ところが、オセローの旗手イアーゴーは、うわべでは忠実な正直者を演じながらも、昇進できない不満ゆえか、ムーア人に仕える屈辱ゆえか、はっきりしない恨みつらみを胸中に欝屈させていた。彼は、オセローの副官キャシオとデズデモーナとの密通を捏造し、デズデモーナのハンカチーフを巧みに操ってオセローを徐々に深い嫉妬の奈落へと陥れる。とうとう妻の不貞を信じきったオセローは、寝室でデズデモーナを絞殺してしまう、が、直後に侍女のエミリアから真実を聞かされる。奸計を暴かれたイアーゴーは捕らえられるが、自らの愚かさを悔いてオセローは自害する。
『リア王』 ブリテンの老王リアは、自分に対する愛情の表現に応じて三人の娘に王国を分け与えようとした。ゴネリルとリーガンの饒舌なことばに対し、末娘コーディリアは深い愛を語れず、勘当されて求婚者のフランス王とともに去る。だが、姉娘たちと暮らすにつけ、その冷酷非情な本性にリアは次第に怒りをつのらせ、末娘への仕打ちを悔い、精神の均衡を崩して嵐の荒野を彷徨する。途中、乞食に変装したエドガーに出会うが、彼はグロスター伯の嫡男で、庶子の弟エドマンドの陰謀によって謀反人の汚名を着せられていた。そのグロスターは、リアを保護したかどでリーガン夫妻によって両眼をつぶされ、エドマンドの謀略を知るに至る。一方、リアを救うためにコーデリアがフランス軍を率いて上陸して父と再会、狂気から一時的に覚醒したリアは自らの愚かさを詫びる。フランス軍は敗退し、二人は捕らえられるも、ゴネリル、リーガン、その夫コーンウオール公は内部争いで滅び、エドマンドもエドガーの正義の刃に屈して、死に際に改心する。しかしエドマンドの下した命令を取り消すに一足遅く、コーデリアは絞殺され、リアはその亡骸を抱いて息絶える。
『マクベス』 スコットランドの勇将マクベスとバンクォーは、反乱軍を征討して帰路につく途上、三人の魔女に出会う。マクベスはやがてコーダの領主となりスコットランド王ともなる運命を、バンクォーはその子孫が王となる未来を予言される。予言通りコーダーの領主となったマクベスは、さらに王位への野心を燃え立たせる。そして、妻の扇動によって勇気を得て、彼の城を訪れたダンカン王を暗殺し、首尾よく王位を手に入れる。しかし、自らの王位存続に不安を抱いてバンクォー父子を襲わせるが、息子を殺し損ない、バンクォーの亡霊に苛まれる。不安の種を除こうとして残虐な粛正を重ねるマクベスだが、次々と部下が去って孤立し、罪の意識から夢遊病にかかった妻にも先立たれる。悪事は露見し、先王の長子マルカムが正義の軍を蜂起し、「女から生まれた者には倒されない」との魔女の予言を信じて戦うマクベスは、「時ならずして母の腹から引き出された」というマクダフによって倒される。マルカムが即位し、スコットランドに平和が戻る。
『アントニーとクレオパトラ』 オクテイヴィアス・シーザー、レピダスとともにローマの三頭政治を司るマーク・アントニーは、エジプトの女王クレオパトラに心奪われ、国家の大事を顧みずにアレグザンドリアで愛欲に耽っている。しかし、妻の死と、ポンペイが兵を挙げたという緊急事態に、急ぎローマへ帰国する。シーザーとの関係を堅固にするためにその姉と結婚するアントニーだが、ポンペイを滅ぼしたシーザーの強まる独裁に不満を募らせ、かたやシーザーの方もエジプトにおけるアントニーの行状に眉をひそめ、ついに両者の間で戦争が起こる。アントニーはクレオパトラとともにアクティウムの海戦に臨むが、途中で遁走したクレオパトラのために敗退。続く陸戦でつかの間の優勢を保ったものの、再び海戦ででクレオパトラに裏切られて敗北を喫する。アントニーの激怒に触れて怯えたクレオパトラは狂言自殺を図り、それを信じたアントニーは剣に身を投げて自害する。クレオパトラは、シーザーの捕虜となる恥辱を潔しとせず、毒蛇に胸を噛ませてアントニーの後を追う。
『コリオレイナス』 紀元前のローマ、ひどい飢饉に耐えかねた民衆が貴族を相手に暴動を起している。武勲に唯一最大の価値をおく貴族マーシャスは、彼ら民衆を国家の役に立たないわがままな存在と見なして侮蔑的態度をあらわにする。折しも、マーシャスの宿敵オーフィディアスの率いるヴォルサイ軍がローマに攻めてくるが、マーシャスは勇猛果敢に戦い、負傷しながらも勝利を収める。元老院は彼の功績を称えて執政官に推挙し、「コリオレイナス」という名誉ある称号を与えることにする。だが、自尊心の高いマーシャスは、ローマのしきたり通りに市民の承認を謙虚に求めることができない。表面をつくろってでも市民の好意を得るようにとの母の説得虚しく、逆にマーシャスの高慢な態度は護民官たちの攻撃の的となり、民衆の敵とみなされてローマから追放される。復讐の念に燃えたマーシャスは、オーフィディアスを頼って祖国を攻めるが、母や妻の肉親の情に動かされ、悩み苦しんだ挙げ句に和解の道を選ぶ。しかしながら、マーシャスは、オーフィディアスよって裏切り者呼ばわりされた上、その共謀者たちによって刺殺されてしまう。
『アテネのタイモン』 アテネの大富豪タイモンは、有り余る財産を惜しみなく友人たちに分け与え、にこやかに恩恵を施している。忠実な執事の諫言に耳を貸そうともせず、友情を信ずるタイモンは、集まってくる追従者たちを贅沢にもてなす。ところが、ついに多額の借金がかさんで身動きが取れなくなると、友人たちに助けを求めても、期待に反してことごとく断られてしまう。忘恩に憤慨したタイモンは、再び彼らを宴会に招き、石と湯の入った皿を出して怒りをぶつける。極度の人間嫌いに陥ったタイモンは、森の洞窟に隠遁し、すべての人間に対する呪いのことばを吐き続ける。ある日、土の中から偶然に黄金を発見したタイモン、そこへ元老院に反抗して国外追放になっていたアルシバイアディーズが軍勢を率いて通りかかったので、その黄金を軍資金として渡して復讐を果たさせようとする。金目当てに再び集まってくる者どもを追い返し、厭世的になったタイモンはやがて死を選ぶ。降伏したアテネと和解するアルシバイアディーズのもとに墓碑銘の写しが届く。
『間違いの喜劇』 シラキューズの商人イージオンは抗争中のエフェサスで捕らえられ、死刑の宣告を受ける。彼には妻エミリアとの間に双子の息子がいたのだが、船の難破で一家は離散、自らは息子のアンティフォラス1と、これまた双子である召使のドローミオ1とともに暮らしていた。しかし、五年前にアンティフォラス1が兄(弟?)を探しに行くと言ってドローミオ1と一緒に出かけたきり戻ってこないので、父は息子を探し回ってこの地にたどり着いたのだ。一方、双子の息子のもうひとり、アンティフォラス2の方は、母と離れ離れになり、エフェサスで妻エイドリアーナと結婚、妻の妹ルーシアーナとドローミオ2とともに暮らしている。そこへアンティフォラス1たちがやって来たために、二組四人のすれ違い、人違いの大混乱が起こる。その果ての捕り物騒ぎで、アンティフォラス1たちは尼僧院に逃げ込むのだが、ちょうどそのとき、処刑場に引き立てられるイージオンが通りかかる。全員が顔をそろえて紛糾は解決、尼僧院長は実はエミリアであるとわかって一族再会、イージオンは釈放、アンティフォラス1はルーシアーナと結婚。
『じゃじゃ馬馴らし』 酔っぱらって寝入ってしまったスライ、通りかかった領主がいたずら心で一芝居、スライは領主になったと思わせる。彼の前で演じられる「愉快な喜劇」──ピサの豪商ヴィンセンシオの息子ルーセンシオは、パデュアを訪れ、資産家バプティスタの娘ビアンカに一目惚れする。しとやかなビアンカには求婚者が群がるが、じゃじゃ馬の姉カタリーナには男が近寄らない。そこへ金持ちの娘を結婚相手に探している荒くれ男ペトルーキオがやってきてカタリーナに求婚する。毒舌を吐くカタリーナと互角に舌戦を繰り広げ、ついには強引に結婚式へと持ち込む。古着をまとった珍妙な服装で式場に現われたペトルーキオ、神父を殴る傍若無人ぶり、またたくまに花嫁を連れ去る。屋敷に戻っても妻には睡眠も食事も与えず、鷹狩りの鷹を飼い馴らすように手なずけてゆく。一方、ルーセンシオは、他の求婚者を押しのけてビアンカの心を射止め、父ヴィンセンシオの承諾を待たずに結婚、偽の父親を仕立てたための大騒動もあるが最後には認められる。宴会の席に現われたカテリーナ、すっかり従順な女性に変貌し、奇跡と驚く皆の前で夫に対する妻の義務を説く。
『ヴェローナの二紳士』 ヴェローナの紳士ヴァレンタインは、恋に浮かれる親友プローテュースを嘲笑し、自身は向学心に燃えてミラノへ旅立つが、ミラノ公の娘シルヴィアと恋に落ちる。やがてプローテュースも父の命令に逆らえず、恋人ジュリアを残してミラノへ修業にやってくるが、同じくシルヴィアに一目惚れしてしまう。彼女は、父親の決めた婿候補には一顧だにせず、ヴァレンタインと密かに駆け落ちの計画を立てている。だが、プローテュースがミラノ公に密告したため、ヴァレンタインは追放の身となる。一方、男装してプローテュースに会いに来たジュリアは、恋人の心変わりを知って傷つき、正体を隠したまま彼の小姓となる。ヴァレンタインを探そうと家出したシルヴィアは、追ってきたプローテュースに乱暴されそうになるが、危うくヴァレンタインに助けられる。そこでプローテュースは心から謝罪し、ヴァレンタインの寛大な許しを得て友情を取り戻し、ジュリアの一途な愛に気づかされる。ヴァレンタインもシルヴィアとの結婚を父のミラノ公に祝福される。
『恋の骨折り損』 ナヴァールの王ファーディナンドと三人の廷臣は、三年間学問に精進するため禁欲的な生活を送ることを誓い合い、女性とことばを交わさないことや、宮廷の一マイル以内に女性を近づけないことを法令として定める。折悪しく、フランス王女が三人の貴婦人を伴って外交交渉に来ることになり、法令があるため宮廷外の幕舎で迎えられる。ところが、たちまち王は王女の魅力に引かれ、三人の廷臣もそれぞれ貴婦人たちに一目惚れ、誓いを立てた手前、その恋心を隠さざるを得ない。一方、気取り屋のスペイン人アーマードーが田舎娘ジャケネッタをめぐって恋敵のコスタードと張り合っている。廷臣のひとり、法令に懐疑的だったビルーンが貴婦人のひとりロザラインに恋文を送るが、それが間違ってジェケネッタの手に渡ったところから秘密の恋は暴露されてしまう。もともと法令に無理があったと互いに許し合い、王と廷臣はロシア人に変装して求愛しに行く。王女たちは仮面をつけての歓待で、男たちは違う相手に恋心を打ち明けてしまう。そうこうするうちにフランス王急死の知らせが届き、王女たちは求婚への返答を一年後に延ばして帰国する。
『夏の夜の夢』 アテネの大公シーシュースとアマゾンの女王ヒポリタとの結婚式を四日後に控えたある日、ハーミアは父の決めたディミートリアスとの結婚を拒んで密かに恋人ライサンダーと森へ逃げる。ハーミアの親友ヘレナが、ディミートリアスへの恋心から彼にこれを告げ、駆け落ちした恋人たちを二人で追うことになる。森では、夫婦喧嘩の怒りが納まらない妖精の王オベロン、目覚めて最初に見たものを愛するという惚れ薬で王妃ティターニアを懲らしめようと企んでいる。そこへ通りかかった若者たち、オベロンは彼らの恋の悩みもこの薬草で解決してやろうとするが、命じられた妖精パックのミスで恋人たちの関係が大混乱、いままで見向きもされなかったヘレナが二人の男に求愛される。一方薬を塗られたティターニアは、芝居の稽古中だった機織り職人ボトムに恋してしまうが、彼はパックによって頭をロバに変身させられているのだ。やがて薬の術は解かれ、迎えるは大公の結婚式、職人たちの滑稽な「悲劇」が披露され、恋人たちもめでたく結ばれる。
『ヴェニスの商人』 ヴェニスの商人アントーニオは、親友バッサーニオのために、航海中の自分の商船を抵当に入れてユダヤ人の高利貸しシャイロックから金を借りる。キリスト教徒のアントーニオに対して日ごろ恨みを抱いていたシャイロックは、返済が不能となった場合にはアントーニオの胸の肉一ポンドを取るという条件をつける。金を手に入れてベルモントへ旅立つバッサーニオ、彼は資産家の令嬢ポーシャに求婚し、彼女の父が遺言で課した条件、「箱選び」の試練で見事に正しい箱を選び当てる。しかし、商船が難破したとの知らせを受けたアントーニオは、借金を返せなくなって逮捕される。苦境のなか、法学博士に変装したポーシャが登場、あくまで証文通り肉一ポンドを要求するシャイロックに向かって「血は一滴も許されない」との逆転判決を下す。敗訴したシャイロックは改宗を迫られ、キリスト教徒と駆け落ちした娘に遺産を譲渡するよう命じられる。ポーシャはバッサーニオに正体を明かし、アントーニオの船は無事だったという知らせが入る。
『ウインザーの陽気な女房たち』 ウインザーのガーター館に滞在中の貧乏騎士フォールスタッフは、裕福なフォード夫人とペイジ夫人の恋人に納まって金を貢がせようともくろむ。しかし、書いた二通の恋文は一字一句同じもの、受け取った両夫人大いに怒り、力を合わせてフォールスタッフを懲らしめる算段となる。招かれていそいそとフォード夫人を訪ねたフォールスタッフだが、女たちの計略によって洗濯物の入った籠に入れられ、テムズ川に投げ込まれる。その後再び誘われて、性懲りもなく出かけてゆくフォールスタッフ、突然に帰宅した夫の目を欺くためと老婆の服を着せられる。それはフォードの大嫌いな老婆で、激怒した彼はフォールスタッフを打ちすえるが、フォードだけは真相を知らされ、妻への疑いも晴れて安堵する。さらにペイジ夫人の発案によって、妖精に扮した仲間の市民や子供たちを使い、伝説の狩人──頭に角を生やした不気味な亡霊──に変装させたフォールスタッフをウィンザーの森でさんざんに懲らしめる。この間、ペイジの娘アンは、結婚を反対されていた紳士フェントンと結ばれ、最後に両親の祝福を受けて、めでたく幕。
『空騒ぎ』 アラゴンの領主ドン・ペドロの家臣クローディオは、メシーナの知事リオナートの娘ヒーローに一目惚れする。もう一人の家臣ベネディックは女嫌い、ヒーローの従姉ビアトリスは男嫌いで、顔を合わせれば口げんか。ドン・ペドロがこの二人を相思相愛の仲にする画策をし、それが功を奏してともに相手が自分を愛していると思い込む。さて、ドン・ペドロを憎む異母弟ドン・ジョンは、ヒーローの寝室に毎夜男が通ってくると言いふらし、彼女の身代わりまで使ってクローディオに嘘を信じさせる。結婚式当日、クローディオはヒーローの不貞を罵って立ち去ってしまう。ヒーローは悲嘆のあまり気絶するが、神父の密かな提案により、彼女は死んだということに。まもなく警官ドグベリーによってドン・ジョンの奸計が暴露され、ヒーローの純潔が証明される。悔いてリオナートを訪ねるクローディオに、リオナートは、罪ほろぼしとして自分の姪と結婚するように命ずる。そして結婚式、仮面をつけて登場したその姪が実は生きていたヒーローだと知って喜ぶクローディオ。ベネディックとビアトリスも結ばれて、めでたく幕となる。
『お気に召すまま』 いまは亡き貴族の末子オーランドーは、兄オリヴァーによって不当に虐げられていたが、ある日、レスリングの試合で大活躍、それを観戦していた前公爵の娘ロザリンドと熱い視線を交わす。兄を追放して公爵の地位を奪ったフレデリックは、自分の娘シーリアのためにとどめておいた姪のロザリンドを、いまや気まぐれな不機嫌から追い出すことにする。危険を避けるために男装し、父の暮らすアーデンの森へ赴くロザリンド。シーリアも道化のタッチストーンを連れて同行する。そして、オーランドーも、憎悪を募らせる兄のもとから老僕アダムを連れて森に逃れ、前公爵の一行に加わる。オーランドーに出会ったロザリンドは、正体を隠したまま恋の相談役を買って出て、自分への思いを打ち明けさせる。折しも、オリヴァーが森の中でライオンに襲われそうになったところをオーランドーに助けられて改心し、シーリアと恋に落ちる。老僧に諭されたフレデリックから公爵領が返され、ロザリンドは正体を明かし、恋人たちは幸せな結婚式を迎える。
『十二夜』 船の難波で生き別れとなった双子の兄妹セバスチャンとヴァイオラ、イリリアに漂着したヴァイオラは男装してオーシーノー公爵の小姓となる。その公爵、伯爵家のオリヴィアに恋していたが、喪に服しているという理由で色好い返事がもらえない。ところが、公爵の思いを伝えるために遣わされたヴァイオラを、オリヴィアは凛々しい男性と見紛って恋してしまう。明かせない真実と公爵への切ない恋心で苦しむヴァイオラ。さて、執事のマルヴォーリオもオリヴィアにあこがれていた。酒飲みの叔父サー・トービーは、かねてよりこの小うるさい自惚れ男を嫌っていたので、侍女のマライアたちと共謀して偽の手紙で彼をからかう。オリヴィアからの手紙と思い込んだマルヴォーリオは、文面どおりに珍妙な服装をして不気味な笑みで現れ、気でも狂ったかと地下牢に閉じ込められてしまう。やがて兄のセバスチャンもイリリアに着き、ヴァイオラと見間違えたオリヴィアに求愛され、喜んで承諾するも、さらに何度か入れ違いがあって回りの者たちを巻き込んでの大騒動。ようやく兄妹は再会し、公爵はヴァイオラと、オリヴィアはセバスチャンと結ばれる。
『終わりよければすべてよし』 若き伯爵バートラムに思いを寄せていたヘレナは、名医であった亡き父の残した処方でフランス王の命を救い、褒美としてバートラムとの結婚を願い出る。王はバートラムの意志に反して結婚式を行なうが、バートラムは義勇兵として旅立ってしまい、「自分の指輪を手に入れ、自分の子供を宿さぬ限り、ヘレナとは夫婦にはならない」と手紙で告げる。ヘレナは悲しみの旅に出るが、フローレンスに着き、バートラムがその土地の未亡人の娘ダイアナに言い寄っていることを知る。彼女は母娘の協力により、彼の指輪を引き渡させ、暗い寝室でダイアナの身代わりを務め、王から授けられた指輪を彼に渡す。やがてバートラムはヘレナが死んだとの噂を聞き、自らの振る舞いを悔いてフランスに戻り、老貴族の令嬢と結婚することになる。しかし、契りとして彼の差し出した指輪がヘレナに渡した王のものだったので、バートラムにヘレナ殺害の嫌疑がかかる。苦境に立たされるバートラム、だがその目の前にヘレナが現われ、彼の指輪を見せ、彼の子供を宿していることを告げる。バートラムはヘレナに許しを乞い、今度こそ二人は本当に結ばれる。
『尺には尺を』 ウィーンの公爵ヴィンセンシオは、急用で旅に出ると偽って部下のアンジェロを代理に立て、自らは修道士の姿に身を隠して国の政治を見守ることにする。冷厳一徹のアンジェロはこれまで放置されていた法令を実施し、結婚前に恋人を妊娠させたクローディオに死刑宣告する。クローディオの妹イザベラが兄の窮地を知らされ、急ぎアンジェロのもとを訪れて慈悲を乞う。すると、彼女の美しさに心揺らいだアンジェロは、あろうことか権力の座を利用して、兄の命と引き換えにと操を要求する。獄中の兄にまで助命を嘆願されて絶望したイザベラに、陰ながら事態をすべて聞き知っていた公爵は、アンジェロをいまだに愛している元恋人マリアナを代役に立てるよう助言する。首尾は上々、しかし、届いたのは赦免状ではなくクローディオの死刑執行命令だった。怒った公爵、熱病で死んだ囚人の首を届けさせ、即刻の帰国を通達する。公爵の面前でイザベラに告発されたアンジェロは、最初はしらを切るが、監獄の修道士が公爵の変装とわかって観念し、マリアナと結婚する。クローディオが生きていると知って喜ぶイザベラに公爵が結婚を申し込む。
『ペリクリーズ』 アンタイオカス王と王女との近親相姦を暴いたタイアの王ペリクリーズは、刺客に追われてペンタポリスに逃れ、王女セイーサと結婚する。しかし、身重の妻を伴ってタイアに戻る途中、大嵐に襲われる。船上で女児を産み落としてセイーサは死に、その亡骸は棺に入れられ海に流されるが、エフェサスに漂着し、名医のもとで彼女は息を吹き返す。一方、ペリクリーズは娘をマリーナと名づけ、サーサス太守クリーオン夫妻に預けて十四年。クリーオンの妻は実の娘より気立ての良いマリーナに嫉妬して殺害を企てるが、マリーナは海賊にさらわれ、ミティリーニの売春宿に売られる。ところが、彼女は来る客をすべて諫め改心させてしまう。太守ライシマカスもその一人で、感服して彼女を保護する。娘が死んだとの知らせに茫然と航海に出たペリクリーズは、途中ミティリーニに漂着し、マリーナに再会できて歓喜の涙を流す。彼はダイアナの託宣に従ってエフェサスの神殿を訪ね、巫女に自らの流転を物語る。感涙にむせぶ巫女、彼女はセイーサだった。ペリクリーズは妻とともにペンタポリスを、ライシマカスとマリーナはタイアを治めることになる。
『シンベリン』 古代ブリテンの王シンベリンは、王女イモジェンと密かに結婚したポステュマスを追放する。ローマに渡ったポステュマス、出会ったイアーキモと妻の貞操をめぐって賭けをするが、巧みな奸計で不実の証拠を得たと思わせられた夫は、妻の殺害を召使いに命ずる。イモジェンは、その誠実な召使いに、誤解を解くため男装してローマに向かうよう助言され、途上のウェールズ山中で老人と二人の息子に出会う。一方、宮廷では後妻である王妃が、連れ子のクロートンを後継者にと企んでいる。クロートンはポステュマスの衣服を着て、イモジェンの後を追ってウェールズにやってくるが、老人の息子と争って首を落とされる。見慣れた衣服の首無し死体を夫と思ってイモジェンは嘆き悲しみ、かたやポステュマスは妻の殺害を悔い、死を覚悟してローマとの戦争に参加する。ブリテン軍はポステュマスおよび二人の息子の活躍に助けられて勝利する。実はこの息子たち、幼くして老人すなわち王の忠僕に連れ去られた王子なのだ。王妃は策謀潰えて死に、ポステュマスはイアーキモの白状によって疑いを晴らし、イモジェンとの結婚が王に祝福される。
『冬物語』 シシリア王レオンティーズは、妻ハーマイオニと友人のボヘミア王ポリクシニーズとの密通を疑う。王妃の無実の訴えを聞き入れずに投獄、神託にも耳を貸さず、彼女が獄中で生み落とした女児を捨ててくるよう召使いに命ずる。母を案ずる心痛から王子マミリアスが急死し、その後を追うかのように王妃も亡くなったと聞いたレオンティーズは、ようやく後悔の念に苛まれる。そして十六年、ボヘミアで捨てられた女児は、羊飼いに拾われてパーディタと名づけられ、年ごろになってポリクシニーズの息子フロリゼルと恋をする。だが、ポリクシニーズに結婚を強く反対され、二人はシシリアに逃れる。懺悔して独り身を通していたレオンティーズは快く彼らを迎え、折しも、パーディタを育てた老羊飼いもシシリアに到着し、彼の証言によってパーディタがレオンティーズの王女であると判明する。そして、長く侍女を務めたポーライナの屋敷で、王妃と見まがうほどよく出来た彫像を見る。音楽とともに像が静かに動きだし、実は生きていたハーマイオニ自身であることが明かされる。一同再会の喜びのなかで、パーディタとフロリゼルはめでたく結ばれる。
『テンペスト』 かつてのミラノ大公プロスペローは、魔術の研究に没頭している間に弟のアントーニオに君主の座を奪われ、幼い娘ミランダとともに島流しにされてしまう。流れ着いた孤島には、怪物キャリバンやエアリエルをはじめとするさまざまな妖精たちが棲息していたが、プロスペローは魔術を用いて彼らを隷属させる。ある日、アントーニオと彼に加担したナポリ王アロンゾらを乗せた船が島の付近を通りかかる。プロスペローはエアリエルに命じて魔法の力で嵐を起こし、船を自分の島に漂着させる。ただしナポリ王子ファーディナンドは別の場所に漂着させ、ミランダと恋に落ちるよう仕向ける。アントーニオらは、プロスペローの采配とエアリエルの活躍によってさんざんに翻弄され、アロンゾは息子が溺死したと思い込み絶望し、プロスペローの追放に手を貸した罪を悔やむ。苛酷な試練の労役に耐えたファーディナンドをミランダの結婚相手と認めるプロスペロー、そして祝宴の席で全員の和解が実現する。目的を果たしたプロスペローは、魔法の杖を折り、書物を海底に沈め、約束通りエアリエルを解放したのち、ミラノ大公として故国に戻ることになる。
『血縁の二公子』 アテネの王シーシュースはテーベの王クレオンに戦いを挑み、クレオンの甥である従兄弟同士のパラモンとアーサイトを捕虜として連れ帰る。牢のなかで友情を誓い合うパラモンとアーサイトだが、窓の外を通りかかった王女エミリアを見て同時に恋に落ちる。その後アーサイトだけ追放されるが、変装して戻りエミリアに仕える。かたやパラモンは牢番の娘に慕われて自由を得るが、彼女はパラモンが逃亡中に狼に襲われて死んだと思い込んで発狂する。森で出会った二人の若者はエミリアをめぐって決闘、そこにシーシュースの一行が通りかかり、後日の御前試合で勝者にエミリアを、敗者に死を与えることにする。牢番の娘の狂気は、娘の求婚者が暗い部屋でパラモンのふりをして近づくという療法で快方に向かい、二人は結婚する。試合の日、アーサイトは軍神マルスに勝利を祈り、パラモンは愛の女神ヴィーナスにエミリアを望む。結果はアーサイトの勝利、だが、パラモンの処刑直前、アーサイトの乗った馬が暴れて下敷きになったとの知らせ、彼はエミリアをパラモンに譲ると言い残して死ぬ。マルスとヴィーナスはそれぞれの願いを叶えたのだ。
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